住宅の断熱性能とは?高断熱住宅のメリットと建てる時の注意

住宅の断熱性能とは?高断熱住宅のメリットと建てる時の注意

住宅の断熱性能は、季節を問わず快適な暮らしを実現するために、とても重要です。これから注文住宅を建てようと検討している方も、 できるだけ断熱性が高く、快適に暮らせる家を作りたいとお考えの方も多いと思います。

しかし、断熱性が高い家とは具体的にどのような家なのか、その性能についてはわからないことも多いのではないでしょうか?

そこで今回は、住宅の断熱性能について解説するとともにその特徴やメリット、高断熱住宅を建てるときの注意点などについて詳しく解説します。

断熱性能とは、外気の影響を受けにくく、かつ、住宅が熱を逃がしにくい性能のことを指します。具体的には、冬場の暖房熱や夏場の冷房熱を外に逃がさず、室内の温度を快適に保つ性能のことです。
断熱性能が高いほど、冷暖房にかかる光熱費を抑えることができ、年間を通して快適な室内環境を実現できます。

住宅の断熱性能とは

住宅の断熱性を示す指標として、UA値、ηAC値、断熱等性能等級があります。断熱等性能等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に定められています。

国土交通省データはこちら

断熱性を示す指標として、以下の2つがあります。

  1. UA(ユーエー)値:外皮平均熱貫流率。建物の壁や屋根、窓などから外に逃げる熱量を表す数値。数値が小さいほど断熱性能が高いことを示す。
  2. ηAC(イータエーシー)値:冷房期の平均日射熱取得率。冷暖房にかかるエネルギー量を表す数値。数値が小さいほど断熱性能が高いことを示す。

これらのUA値、ηAC値は、地域区分ごとに決められており、この値を基準として評価されるのが断熱性能等級です。

UA値とηAC値
※国土交通省データから

日本では「断熱等性能等級」という指標で断熱性能を表し、2024年現在、1~7までの等級が存在します。

等級が高いほど断熱性能が高く、等級4以上が一般的とされています。

しかし世界的に見て、断熱等性能等級4はそれほど高い基準ではありません。ですから、これから注文住宅を建てるなら、少なくとも等級5以上、できれば等級6以上を検討するのがおすすめです。

将来的に等級6以上の義務化や、より高い省エネ性能を目指す動きもあるためです。

ちなみに2025年4月以降に新築する住宅は、断熱等性能等級4以上であることが義務化されます。

これは、省エネ性能の高い住宅の普及を促進し、エネルギー消費量を削減することを目的としています。

断熱等性能等級は1〜7まである
※国土交通省データから

断熱性能の高い住宅は、以下のようなメリットがあります。

1年中快適な室温で暮らすことができる

外気温の影響を受けにくいため、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を維持できます。冷暖房の効きが良く、室温を一定に保ちやすいので、快適に過ごせます。

室温が安定していると、夜もぐっすり眠ることができるでしょう。

室内の熱を逃しにくいことは、災害時にも役立ちます。停電が起きても室内の温度が変化しにくく、暖房や冷房がなくてもある程度の快適さを保つことができます。

1年中快適な室温で暮らすことができる

光熱費を大幅に節約できる

外気の影響を受けにくいので、冷暖房にかかる光熱費を大幅に削減できます。部屋の大きさやエアコンの性能にもよりますが、冷房の温度を1度上げると電気代を10%から13%節約できるといわれています。

たとえば、これまで25度設定にしていたとしたら、27度から28度にすることで、大幅な節約が見込めます。

また、エアコンを酷使しないで済みますので、光熱費だけでなく冷暖房機器の寿命延長やメンテナンス費用の削減にもつながるでしょう。

光熱費を大幅に節約できる

温度差が小さくなることの健康へのメリットも大きい

高断熱の住宅は、結露によるカビやダニの発生を抑え、室内を清潔に保ちます。結露は、暖かい空気が外気で冷やされた窓や壁に触れることによって、 空気中に含まれていた水蒸気が水滴となる現象です。

温度差がある場所にできやすく、窓ガラスだけでなく浴室やキッチンでも見られます。目の届かない壁の内側や床下に結露が発生することもあります。

結露を放置しておくとカビやダニが発生しやすく、それによってシックハウス症候群や喘息などの病気を引き起こす可能性もあります。

断熱性能の高い住宅は、温度差が少ないため結露が発生しにくく、カビやダニによる病気を防ぐことができます。

また、室内の温度差が小さいため、ヒートショックによる体調不良のリスクを軽減できます。ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が急上昇・急降下することにより心臓や血管にダメージを与えてしまうことです。脳出血や心筋梗塞などの原因となる恐れがあります。

東京都健康長寿医療センター研究所の研究によると、年間17,000人がヒートショック関連で亡くなっているというデータもあります。

高断熱住宅なら温度変化が少ないので、血圧の変動も少ないと考えられます。

温度差が小さくなることの健康へのメリットも大きい

気密性が高い住宅は遮音性も高い

気密性が高い家は、空気の流入と流出を防ぐだけでなく、音の侵入も防いでくれるのです。

外部からの音の影響を受けにくいため、静かな室内環境を実現できます。その逆もしかりで、家の中の音が漏れにくいので、小さいお子さんが思い切り遊んでも、ご近所様を気にすることもないでしょう。

気密性が高い住宅は遮音性も高い

断熱性能の高い住宅は、快適に暮らせるというメリットがありますが、住宅を建てる際にはいくつか注意してほしい点があります。

高断熱住宅は気密性が高いため、適切な換気システムを導入しないと室内の空気がこもりやすく、シックハウス症候群などの健康被害を引き起こす可能性があります。

空気の入れ替えが必須ですが、窓をしょっちゅう開けていては、断熱性の高い家にした意味がありません。窓を閉めたままでも換気ができるよう、熱交換式換気システムなど高断熱住宅に適した換気システムを導入することが必要です。

ちなみに2003年以降は、すべての建築物で24時間換気システムの設置が義務付けられています。

換気システムの導入は必須

高断熱住宅は、外壁と断熱材の間に隙間があると、内部結露が発生する可能性があります。内部結露は、カビや木材が腐る原因となるため、注意が必要です。 内部結露を防ぐためには、気密性能をしっかりと確保しつつ、断熱材の種類や施工方法を工夫する必要があります。

内部結露に注意

窓は熱が出入りしやすい場所であるため、断熱性能に大きな影響を与えます。大きな窓は開放感がありますが、断熱性能を高めるには窓の数を減らしたり、断熱性の高い複層ガラスやトリプルガラスを採用したりするなどの工夫が必要です。

大きさや配置も断熱性能に影響を与えるため、専門家に相談しながら決めることをおすすめします。

窓にも工夫が必要

断熱性能の高い住宅を建てるには、高性能な資材を使用することと、高い施工品質を確保するために腕のよい職人を選ぶ必要があるため、一般的な住宅よりも建築費が高くなる傾向があります。

ただし、冷暖房費が節約できますから、長期的に見ればそれほどの差はつかないと考えられます。

建築費用が高くなる傾向がある

断熱性能の高い家を建てるには、高度な技術と経験が必要です。高断熱・高気密住宅の実績が豊富な建築会社を選ぶことが大切ですから、施工費だけで比較してはいけません。

断熱性能だけでなく、気密性、換気計画など、総合的な視点を持った家づくりが重要です。

施工実績が豊富で、具体的な断熱材や工法の説明ができるだけでなく、地域の気候に合わせた最適な断熱性能を提案してくれる業者を選びましょう。

信頼できる施工業者を選ぶことが大事

石井工務所は、安心・安全な注文住宅を作り続け、みなさまの理想の暮らしを実現するお手伝いをしてまいりました。

さらに、埼玉県内の優良建設会社のみで構成される「L-nst(エルネスト)」のメンバーでもあります。

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