近年、平屋の住まいが再び注目を集めています。かつては一般的な住宅形式であった平屋ですが、高度経済成長期以降の住宅事情の変化により、二階建て住宅が主流となりました。
しかし、高齢化社会の進行や自然災害への意識の高まりなどを背景に、平屋のメリットが見直されています。
平屋は階段のないワンフロアの設計ですから、家族間のコミュニケーションが取りやすく、年をとっても住みやすいのが魅力です。一方で、土地の価格が高くなるなどデメリットと感じる部分もあります。
そこで今回は、平屋のメリット・デメリットを徹底的に解説します。これから平屋を建てようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
平屋のメリット
平屋の魅力は、その暮らしやすさと快適さにあります。
床下エアコンの効果で快適な室内温度を維持
平屋の一体感のある空間は、床下エアコンの効果を最大限に活用できます。空気が床面から自然に上昇し、家全体が均等に温まり、冷暖房の効率が向上します。
特にワンフロア構造では温度ムラが少なく、エネルギー効率が良いため電気代の節約にもつながります。また、床下エアコンは室内に設置物が少ないため、スッキリとしたインテリアを保ちながら快適な温度管理が可能です。
バリアフリーで暮らしやすい空間が作れる
階段のないワンフロア構造の平屋は、バリアフリー住宅として理想的です。
年齢を重ねると階段の上り下りが負担になりやすく、転倒のリスクも高まります。平屋なら段差のない暮らしができるため、高齢になっても安心・安全に暮らせます。
子育て中の家庭にとっても、階段のない平屋は魅力的。小さな子どもが階段から転落する心配がないので、安心して遊ばせられます。
廊下やドアを広めに設計すれば、車椅子やベビーカーでもスムーズに移動できるユニバーサルデザインの家になります。年代に関わらず、長く快適に住めるのが平屋の強みです。
効率的な生活動線と家事動線で快適な暮らし
洗濯機が1階、物干しスペースが2階にある場合、洗濯物を運ぶのが大変ですが、平屋は、ワンフロアだからこそ、ムダのないスムーズな動線が実現できます。洗濯物を干す・取り込む・収納する流れが最短距離で完結し、毎日の家事が楽になるでしょう。
階段の掃除も不要になります。重い掃除機を持って、階段の上り下りをしなくて済みますので、掃除機の持ち運びも楽です。
また、家事の中心となるキッチンがワンフロアにあるため、料理をしながら子どもの様子を見たり、他の家事と並行してこなしたりしやすくなります。
家族間のコミュニケーションが取りやすい
平屋は家族が自然と顔を合わせる機会が多くなるため、コミュニケーションがとりやすくなります。
リビングを家の中心に配置することで、家族が集まりやすくなり、「おはよう」「おかえり」などの家族の声が自然と飛び交う空間を作れるでしょう。
個室を設けても、ワンフロアなので家族の気配を感じやすいのが平屋の良さです。プライベート空間を確保しつつ、つながりを感じられる家で、子どもの成長を身近に感じながら生活できます。
親世代と同居する場合でも、階段がないことで同じ空間にいる感覚が強まり、会話の機会が増えるため、高齢の家族が孤立しにくくなります。
屋外との一体感が高く自然を身近に感じられる
平屋は、庭やテラスとつながりやすく、自然を感じる暮らしが叶います。
リビングや寝室に大きな掃き出し窓を設けることで、屋外と室内がシームレスにつながり、四季折々の風景を楽しめますし、ウッドデッキを設ければ、庭をアウトドアリビングとして利用可能です。
構造が安定しており耐震性・耐風性が高い
平屋は、建物の重心が低く、構造的に安定しており、地震や強風にも強いのが特徴です。二階がないため建物の重心が低く、揺れにくい構造になっています。
柱や壁の配置も自由度が高く、耐震性を強化しやすいのもメリットです。
また、二階建てに比べて屋根の面積が大きく、風を受け流しやすいため、台風時の被害を抑えやすい構造にもなっています。
天井高を確保しやすく開放的な空間を実現できる
平屋は、吹き抜けや勾配天井を取り入れやすく、広々とした開放的な空間を作れます。天井が高いと窓も大きく設計できますから、自然光をたっぷり取り込めるのもポイントです。
勾配天井を活かしてロフトを作れば収納や趣味スペースとして活用でき、暮らしの幅も広がるでしょう。
平屋のデメリット
平屋は魅力的な住まいですが、デメリットもあります。しかしデメリットを理解し、対策を講じておけば、後悔のない平屋づくりは可能です。
広い敷地が必要で、土地取得費用が高くなる
平屋は、二階建てと同じ床面積を確保しようとした場合、より広い敷地が必要になります。たとえば3LDK、100平米の家を建てるとき、単純に考えますと、2階建てなら半分の面積で済むわけです。
特に都市部など土地の価格が高いエリアでは、平家を建てるための土地を購入する費用はかなり大きくなってしまうでしょう。
できるだけ費用を抑えたいなら、広い敷地を確保できる郊外や地方での建築を検討するか、あるいは、建物の形状を工夫してコンパクトな平屋にするなどの対策が必要です。
建築費用が割高になる可能性がある
平屋は、階数がひとつしかないから安く建てられるのでは？と思われがちですが、実は違います。平屋は、基礎や屋根の面積が二階建てよりも広くなるため、建築費用が割高になる傾向があります。
【対策】
・凹凸の少ない長方形や正方形の間取りにする
・無駄な部屋を作らない
・安価で高性能な建材を活用する
できるだけシンプルな設計にし、コスパの良い素材を選ぶことで、建築費を抑えられます。
日当たりや風通しに注意が必要
平屋は、建物の形状や周辺環境によっては、日当たりや風通しが悪くなる可能性があります。特に、周囲に高い建物がある場合や、敷地が狭い場合は注意が必要です。
【対策】
・中庭や吹き抜けを活用して建物の中心部に光を取り込む設計にする
・風の流れを考えて対角線上に窓を設置する
・屋根に窓をつけることで、家の奥まで光を届ける
採光や通風を考慮した間取りや窓の配置、天窓の設置など、設計段階からの工夫によって、快適な家づくりは可能です。
プライバシーの確保が難しい場合がある
平屋は、全ての部屋が同じフロアにあるため、部屋間のプライバシーを確保しにくい場合があります。家族構成やライフスタイルによっては、個室の配置や間仕切りなどに工夫が必要でしょう。
また、平屋は高さがないため、周囲の建物や通行人から家の中が見えやすいというデメリットがあります。
【対策】
・中庭を囲む形（コの字型・L字型）の間取りにしてプライバシーを確保
・目隠しとなる塀や庭の植栽を活用して、外からの視線を遮る
・高窓やすりガラスの窓で視線を遮りつつ、光を取り入れる
防犯面での配慮が必要
平屋はすべての部屋が1階にあるため、窓や出入り口からの侵入リスクが高くなります。
【対策】
・防犯カメラやセンサーライトの設置
・防犯性の高い窓やドアを採用する
・家の周囲を塀で囲みすぎず、周りからの視線が届くようにする
強化ガラス、シャッター、防犯フィルムなどを活用することで、侵入リスクを減らしていけます。
屋根からの熱で室内が暑くなりやすい
平屋は、屋根の面積が広いため、夏場は屋根からの熱で室内が暑くなりやすいです。そのため夏は冷房効率が悪くなり、光熱費が上がる可能性があります。
【対策】
・断熱性の高い屋根材や断熱材を使用する
・床下に換気システムを設ける
また、庭に落葉樹を植えることで、夏は日陰を作り、冬は日差しを取り込むことができます。
水害時のリスクが高い
平屋は、全ての部屋が同じフロアにあるため、浸水すると生活空間全体が被害を受けやすいというデメリットがあります。特に、低い土地や河川の近くなど、水害リスクの高いエリアでは注意が必要です。
【対策】
・地盤を高くする、盛り土をする
・防水性能の高い建材を選ぶ
・床下換気をしっかり設計して浸水後の乾燥を早める
土地選びをする際は、価格だけでなく、ハザードマップを確認して浸水被害が少ないエリアを選ぶことも大切です。
平屋で後悔しないための注意ポイント
平屋は暮らしやすい魅力的な住まいですが、設計や土地選びを誤ると「こんなはずじゃなかった…」と後悔することも。
ここでは、後悔しないために押さえておきたい3つの重要ポイントを解説します。
1. 土地選びと配置計画のポイント
土地は、日当たり・風通しを考慮して選びます。
・南向きの土地
・周囲の建物の配置によって風が抜けるかチェック
・隣家や建物の影の影響をチェック
家族の人数にもよりますが、快適に暮らすならある程度の広さが必要です。30坪以上の家なら60坪以上の土地を確保するのが理想です。
部屋の配置は、リビングを南側に配置することで、日当たりの良い快適な空間を確保できます。また、家事動線も考慮し、水回りの配置を工夫しましょう。ここは、実際に平屋を建てた人の口コミなどを参考にするのが良いでしょう。
2. プライバシーと防犯性を高める設計
プライバシーを確保しつつ、防犯性も高めるには、以下の工夫が効果的です。
・中庭のある間取りで外部からの視線を気にせず開放的な空間を作る
・塀や植栽で目隠しをして、防犯性を高めながら景観も整える
・道路に面した窓には防犯ガラスやシャッターを設置
・玄関は見通しの良い位置にし、死角を作らず、不審者を寄せ付けない工夫
窓の位置や高さを考えれば、開放感とプライバシーを両立することは可能です。また、防犯性の高い鍵や窓を選ぶことで安心感もアップします。
3. 信頼できる施工会社を選ぶ
実は、何よりも大事なのが、施工会社選びです。
平屋の施工経験が多い会社は、間取りや構造のノウハウの蓄積があります。完成見学会や施工事例を確認すれば、自分の理想に合うかチェックできるでしょう。
最低でも3社以上から見積もりを取り、費用感や提案の違いを比較してみてください。見積もりの内訳を細かくチェックし、不明点があれば遠慮なく質問しましょう。小さな質問でも、丁寧に答えてくれるのが良い施工会社です。
定期点検や保証制度の有無もしっかりチェックしてください。アフターフォローが丁寧な会社は、何かあってもすぐに相談ができる安心感があります。
平屋を建てるなら石井工務所に相談してください
石井工務所は、埼玉県蓮田市で高品質な注文住宅を作り続けている工務店です。地域密着型のため、打ち合わせからアフターサービスまで、迅速かつ丁寧な対応が可能です。
長年の経験で培われた確かな技術力で、耐久性、耐震性、断熱性に優れた家を作ってきました。平屋ならではの設計ノウハウも豊富です。開放感、採光、風通しなど平屋の魅力を最大限に活かしたプランをご提案します。
注文住宅は、ライフスタイルに合わせた自由な設計が可能ですから、理想を詰め込んだ世界にひとつの家づくりが可能です。こんな平屋を建てたい！と思っている方は、ぜひ一度、私たち石井工務所にご相談ください。
まとめ
平屋は、バリアフリーで暮らしやすく、家族のつながりを感じられる住まいです。生活動線がスムーズで家事効率も良く、耐震性・耐風性に優れている点も大きな魅力。さらに、屋外との一体感があり、開放的な空間を作りやすいのも特徴です。
一方で、広い敷地が必要になりやすいことや、プライバシー・防犯対策への工夫が必要というデメリットもあります。土地の選び方や設計の工夫によって、デメリットを最小限に抑えることが可能です。
信頼できる工務店に依頼し、最適なプランを提案してもらうことで、後悔のない平屋づくりが実現できます。ライフスタイルに合った理想の住まいを、平屋で叶えてみませんか？
