「親との同居に二世帯住宅を考えているけれど、広い土地がない……」そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
今回は40坪という限られた面積で二世帯住宅を建てたいと考えている方に向けて、間取りの工夫ポイントや具体的なプラン例をご紹介します。
二世帯住宅の3つのタイプの特徴や、それぞれに合った間取りの考え方など、これから二世帯住宅を立てたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
40坪ってどのくらいの広さ?
「40坪」とは、約132平方メートルの敷地面積や延床面積を指します。住宅の延床面積として考えた場合、4LDKの一戸建てが十分に建てられる広さです。
これを二世帯住宅として使う場合、それぞれの世帯に20坪(約66㎡)前後のスペースを割り当てることになります。
たとえば、建ぺい率60%、容積率200%の土地であれば、2階建ての家として延床40坪の住まいを計画することも可能です。親世帯と子世帯が1フロアずつ暮らす縦割り型の二世帯住宅なら、空間の分け方もしやすくなるでしょう。
限られた広さではあるものの、設計次第で快適な暮らしは実現できます。土地に制約がある都市部でも二世帯住宅を建てることは可能です。
40坪で実現できる二世帯住宅の間取り例
では実際に、どのような間取りの家を建てることができるのか、例とともにご紹介します。
完全分離型:生活スタイルを完全に分けたいご家庭に
完全分離型は、玄関から水回りまでをすべて分けるスタイルです。40坪という広さではややコンパクトにはなりますが、2階建てで上下に世帯を分ければ十分広く使えます。
たとえば1階を親世帯、2階を子世帯とする場合、それぞれにLDK・寝室・トイレ・浴室を配置することができます。限られた空間でも、収納や通路を最小限にするなどの工夫次第で、快適な住み分けが可能です。
玄関まで完全に分けると、廊下や階段に余分なスペースが必要になるため、玄関のみ共有にして、それ以外は完全分離にするパターンも人気です。たとえば共用の玄関から左右にそれぞれの生活空間へアクセスできる設計にすれば、建築面積を有効に使えます。

【実例:上下階で分ける完全分離型プラン】
1階(親世帯:約66㎡)
・LDK(リビングダイニングキッチン):約16㎡
・寝室:8㎡
・和室:6畳(約9.9㎡)
・洗面+浴室+トイレ:8㎡
・収納・玄関・廊下:残り約24㎡
2階(子世帯:約66㎡)
・LDK:18㎡
・主寝室:10㎡
・子ども部屋(2部屋):各6.5㎡
・洗面+浴室+トイレ:8㎡
・収納・階段スペースなど:残り約17㎡
上下階で独立して暮らせる間取り例です。生活リズムが異なる世帯にぴったりで、プライバシーも安心です。床材の防音性を高めたり、水回りの配置を工夫したりすることで、上下階の音対策もしっかり行えます。
部分共有型:コストを抑えつつプライバシーも確保
玄関・キッチン・浴室など、一部の空間を共有することで、建築費用やスペースを効率化できるのが部分共有型です。たとえばLDKと水回りは1つにまとめ、各世帯の寝室や個室を分けるスタイルなら、40坪の中でもゆとりのある暮らしが叶います。
このタイプは、日常的な交流を大切にしたい家庭や、親の介護を視野に入れている場合にも適しています。設備が1セットで済むためコストを抑えられ、空間を広く使えるのも大きなメリットです。
【実例:LDKのみ共有する部分共有型プラン】
1階(共用・親世帯:約66㎡)
・共用LDK:22㎡(ダイニング・キッチン・リビング)
・親の寝室:10㎡
・洗面・浴室・トイレ:8㎡(共用)
・収納・玄関・廊下など:26㎡
2階(子世帯:約66㎡)
・子世帯の寝室(主寝室+子ども部屋2室):主寝室10㎡+子ども部屋各6.5㎡
・書斎やフリースペース:8㎡
・トイレ(専用):2㎡
・収納・階段ホールなど:残り約33㎡
1つのリビングで自然なふれあいを持ちながらも、夜間や就寝時のプライバシーはしっかり守れる構成。玄関を共用にすればさらにスペース効率も高くなります。
完全共有型:家族のつながりを大切にしたい方へ
すべての空間を家族で共有する完全同居型は、最も効率的に空間を使えるスタイルです。限られた40坪の中でも、各部屋にゆとりを持たせることができ、家族のつながりを感じながら暮らすことができます。
ただし、プライバシーの確保は重要な課題です。寝室の配置や収納、遮音性などに工夫が必要です。また、生活時間帯の違いがストレスにつながることもあるため、部屋数や動線計画には細心の注意が求められます。

【実例:中庭や吹き抜けを活かした開放型プラン】
1階(約66㎡)
・共用LDK:24㎡(家族全員の憩いの場)
・親の寝室:10㎡
・洗面・浴室・トイレ:9㎡
・中庭や吹き抜けスペース:6㎡
・玄関・収納など:17㎡
2階(約66㎡)
・子世帯の主寝室:10㎡
・子ども部屋:各6㎡×2部屋
・セカンドリビング(多目的室):10㎡
・トイレ・洗面:3㎡
・階段ホール・収納:残り約25㎡
空間全体を共有しながらも、視線や音に配慮することで程よい距離感を保てる設計です。開放感があり、家族の気配を感じながら穏やかに過ごしたい方におすすめです。
40坪の二世帯住宅を建てるときの間取りの注意点
限られたスペースで快適な暮らしを実現するには、以下の点に気をつけてください。
コストを抑えるには共有部分の設計がカギ
40坪という限られた延床面積では、設備や動線をコンパクトにまとめることが建築コストの削減のカギとなります。
たとえば、浴室・洗面・トイレなどの水回りや玄関を共有することで、配管や設備機器の数を減らすことができ、全体のコストが抑えられます。
また、建物の形状をシンプルな総2階にすることで、基礎や屋根の施工費用も抑えやすくなります。凹凸の少ない間取り=コスト削減の第一歩といえるでしょう。

各部屋の広さを無理なく確保する工夫
限られた面積の中でも、各世帯に最低限必要な個室スペースをしっかり確保することが大切です。親世帯にとっては寝室+和室(または洋室)、子世帯には主寝室+子ども部屋2部屋を基本とし、なるべく10平方メートル(6畳前後)の面積を確保できるよう調整するのが理想です。
このとき重要なのが、通路や無駄な空間を極力減らすこと。たとえば、廊下を短くして部屋を直接つなげるレイアウトや、収納を部屋に一体化させることで、床面積を有効活用できます。

プライバシーと防音性をどう確保するか
上下階や隣接する部屋からの生活音が、ストレスにならないような配慮が必須です。特に、完全分離型で上下に世帯を分ける場合は、子世帯のLDKや子ども部屋の真下に親世帯の寝室が来ないよう、部屋の配置を工夫することが大切です。
加えて、遮音性の高い床材や、吸音ボード、二重サッシなどの採用も効果的です。快適な同居生活のためには、物理的な距離だけでなく「音の距離」を取る工夫も重要なポイントです。

40坪台の二世帯住宅の費用相場
二世帯住宅を40坪で建てると、費用はどのくらいかかるでしょうか。
坪単価の目安と全体費用の概算
国土交通省の「建築着工統計調査」によると、住宅の建築費は全国平均で坪単価70万〜80万円程度が主流となっています。地域によってかなり差があり、東京や大阪など都市部ではかなり高めとなっています。
この単価を基準として考えると、建築費は以下の通りとなります。
・坪単価70万円 × 40坪 = 約2,800万円
・坪単価80万円 × 40坪 = 約3,200万円
この費用には、本体工事費のほかに、付帯工事費や諸費用(登記・ローン手数料・火災保険など)などが加わります。

部分共有型のほうが費用を抑えやすい
完全分離型ではキッチン・バス・トイレ・給湯設備などをすべて2世帯分設置するため、同じ延床面積でも費用は高くなります。一方で、部分共有型や完全共有型は、設備の数を減らせる分、総工費を抑えることができます。
たとえば、同じ40坪でも、
・完全分離型:3,500万円〜4,200万円
・部分共有型:3,000万円〜3,500万円
・完全共有型:2,800万円〜3,300万円
というように、スタイルによって500万円以上の差が出ることも珍しくありません。

地域や仕様によっても差がある
坪単価は、関東・都市部では90〜100万円、地方では70万円前後というように地域差も大きく、加えて、ZEH仕様や高気密高断熱住宅などを採用するとコストも上昇します。
また、長期優良住宅や住宅省エネキャンペーンなど、国の補助金制度を活用することで負担軽減ができるケースもあるため、計画段階で工務店や設計事務所に相談しておくことをおすすめします。

二世帯住宅のご相談は石井工務所まで!
「40坪で二世帯住宅なんて無理じゃないか…」と思っていませんか?実は、経験豊富な設計者と一緒に考えれば、限られた面積でも快適な暮らしを実現することができます。
石井工務所では、これまでにも完全分離型・部分共有型・同居型など、さまざまなスタイルの二世帯住宅を設計・施工してきました。地元密着の建設会社として、土地の特性やご家族のライフスタイルを丁寧にヒアリングし、最適なプランをご提案しています。
また、二世帯住宅では世代間の価値観や暮らし方の違いがあるため、単なる間取りの話だけでなく、住み方そのもののご相談も大切になってきます。
・親との距離感、どうする?
・将来は賃貸化も視野に入れたい
・子どもが巣立った後の使い方は?
そんな将来まで見据えたプランづくりも、石井工務所なら一緒に考えられます。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
二世帯住宅というと「広い土地が必要」と思われがちですが、40坪(約132㎡)でも、工夫次第で快適な住まいをつくることは十分可能です。
完全分離型、部分共有型、完全同居型とそれぞれにメリット・デメリットがありますが、家族構成やライフスタイルに合わせて間取りを柔軟に考えることで、暮らしやすさはぐっと高まります。
限られた面積のなかで部屋数や動線、防音性、将来の使い方まで考慮するには、やはり経験豊富なプロの力が不可欠。費用面や補助金制度の活用も含め、専門家と一緒にじっくりプランを練ることが、満足度の高い家づくりへの近道です。