「母と一緒に住むために、二世帯住宅を考えているけれど、どんな間取りがいいのか迷ってしまう……」そんなお悩みをお持ちではありませんか?
高齢の母を一人暮らしさせるのは不安。でも、同居となるとお互いの距離感も気になる。そんな声を受けて、最近では「母一人との二世帯住宅」を選ぶご家庭が増えています。
そこで今回は、母一人との二世帯住宅に適した広さや、タイプ別の間取り例、設計の際に押さえておきたいポイントなどを詳しくご紹介します。
二世帯住宅・母一人の間取りに必要な広さ
母一人と同居するための二世帯住宅は、どのくらいの広さが必要なのでしょうか。平屋と二階建てに分けてご紹介します。
平屋なら40坪あれば十分
母一人との二世帯住宅を平屋で計画する場合、延床面積は40坪(約132㎡)以上を目安にするとゆとりのある間取りが実現できます。
基本的な構成としては、母親用の居室+子世帯のLDK・寝室・水まわりという形になりますが、完全分離型ではキッチンやトイレ、お風呂などの水回り設備が2セット必要になるため、その分のスペースが必要です。
一方で、部分共有型や完全同居型であれば、水回りを共有することで床面積を抑えることも可能です。その場合でも、母のプライベートスペース(6〜8畳の個室+収納)をしっかり確保しておきたいものです。
ただし、平屋を建てるには広めの敷地が必要になるため、土地の形状や面積によっては希望通りの間取りにできない場合もあります。建ぺい率や容積率を事前に確認しておきましょう。
2階建なら35坪でも可能
母一人との二世帯住宅を2階建てで設計する場合、延床面積の目安は35〜45坪(約115〜150㎡)程度が一般的です。2階建ては、縦に空間を活用できるため、限られた土地でも効率よくプランニングできるのが大きなメリットです。
たとえば、1階に母親の居住スペース+共有のLDKを配置し、2階に子世帯のプライベート空間を設けるなら、日常生活の動線もスムーズで、双方にとって負担が少ない間取りになるでしょう。

二世帯住宅・母一人の間取り例
では、どのような間取りが考えられるか、具体例を見ていきましょう。
完全同居型:子世帯に一部屋追加で対応
母親が一人で暮らしていた実家を処分し、子世帯の家に呼び寄せる。そんなケースで多く採用されるのが完全同居型の二世帯住宅です。これは、基本的には子世帯の住宅に「母の居室を1部屋追加する」というシンプルな構成になります。
たとえば、4LDKの間取りであれば、主寝室・子供部屋×2・そして「母の個室」という組み立てです。居住空間や水回りはすべて共有する形になるため、最もコストを抑えやすいスタイルといえます。
完全同居型の最大のメリットは、生活のサポートがしやすい距離感にあります。特に、母親に持病があったり、日常的に見守りが必要だったりする場合には、同じ空間で生活を共にすることで、急変時の対応や声かけがスムーズで安心でしょう。

また、孫とおばあちゃんが自然に触れ合えるため、世代間交流の機会が増え、情緒的なつながりも育みやすくなります。
気をつけたいのは生活リズムや価値観の違いによるストレスです。たとえば、テレビの音量や食事の時間、家事の分担など、日々のちょっとした「ズレ」が積もると、不満がたまる原因となってしまうでしょう。
また、洗面台を2つにする、浴室は予約制にするなど、ルールを決めておくことも快適な暮らしにつながります。
一部共有型:リビング中心に生活動線を分ける
「完全に一緒に住むのはお互いに気を使いそう。でも、まったく別というのも少し寂しい」そんな声に応えるのが、一部共有型の二世帯住宅です。母一人との同居で最も選ばれているスタイルともいわれ、程よい距離感と安心感のバランスが取れた間取りが魅力です。
一部共有型では、玄関・リビング・水回りの一部を共用しながら、寝室やミニキッチン、収納などのプライベート空間は別々に確保するのが一般的です。
特に人気なのが、
・LDKは共有、母の居室はリビングの近くに配置
・トイレは2つ用意
・母専用のサブキッチン(またはミニキッチン)を設置
というスタイルです。

このタイプのメリットは、生活のつながりを残しつつ、お互いの生活リズムを尊重できること。たとえば、リビングで一緒に食事をしたり、お茶を飲んだりといった「交流の場」が自然と生まれる反面、母親が早寝早起きタイプでも、静かに休める個室が確保されていることで、ストレスを減らせます。
完全分離型:玄関ホールでつなげて安心感を確保
「お互いの生活に干渉せず、でも何かあったときにはすぐ駆けつけたい」そんなニーズに応えるのが、完全分離型の二世帯住宅です。
完全分離型とは、玄関・キッチン・トイレ・お風呂などの設備をすべて別々に設け、それぞれが独立した生活を送れるスタイルのこと。「一つ屋根の下にある二つの家」と考えれば良いでしょう。
母一人との同居においても、それぞれの暮らしを尊重しつつ、見守りの距離感を保てる間取りとして人気があります。
その中でも特におすすめなのが、「玄関ホールでつながるタイプ」です。これは、各世帯にそれぞれの玄関を設けつつ、建物内に共有の内扉やホールを通じて行き来できる動線を確保する設計にします。
たとえば、
・母の住まいは1階、子世帯は2階
・または左右に居住エリアを分け、中央の玄関ホールでつなぐ
といった構成にすれば、プライベートを確保しつつ、何かあってもすぐに対応できる安心感があります。
二世帯住宅・母一人の間取りを考える時のポイント
二世帯住宅で、さらに快適に暮らすための工夫をご紹介します。
母のサポートが必要ならバリアフリーにすると暮らしやすい
母が高齢になってきている、あるいはすでに体の不自由さを感じている場合、バリアフリー設計は必須です。
床の段差をなくし、ドアは引き戸に、廊下やトイレには手すりを設置。さらに、車椅子を使う可能性があるなら、ドア幅や回転半径も考慮しておくと安心です。
将来的な介護を想定するなら、寝室の隣にトイレを配置したり、介護ベッドが置ける広さを確保したりする工夫もおすすめです。

完全同居型でもトイレを2つ作っておくと快適
トイレが1つしかない場合、朝の混雑や夜間の使用で不便を感じることもあるため、母専用のトイレを設けることも検討しておくと安心です。
特に、夜中や早朝など生活リズムが違う場合、トイレを共有するのは意外と不便です。
母専用のトイレを1つ設けるだけで、お互いの気遣いがグッと減り、生活の質も向上します。

部分共有型でも母専用のミニキッチンを設置
共有のLDKがある場合でも、母が「自立しながら安心できる環境づくり」に欠かせないのが、自由にお茶や軽食を用意できるミニキッチンです。
・今日は一人でゆっくり食べたい
・好きな時間にコーヒーを淹れたい
そんな小さな希望が叶うだけで、母の暮らしの満足度が大きく変わりますし、同居によるストレスの緩和にもつながります。
ミニキッチンはスペースを取らず、冷蔵庫・シンク・IHコンロ1口程度があれば十分。二世帯住宅においては、あると非常に喜ばれる設備のひとつです。

テラスや中庭を共有することで適度な繋がりを保てる
「顔を合わせるのは1日に1回でいい」というご家庭でも、自然と交流が生まれる工夫があると、家族の関係が円滑になります。
そこでおすすめなのが、中庭やテラスの共有スペースを設けることです。
洗濯物を干すついでに会話ができたり、晴れた日に一緒にお茶を楽しんだりと、「話そう」と意識せずに繋がれる場所として家族の絆を深めてくれます。

お母さんが元気なら完全分離型はお互いのライフスタイルを尊重できる
まだまだ元気で活動的なお母さんには、完全分離型のスタイルが最適です。
日々の生活を自分のペースで送りつつ、いざという時には子世帯と連携できる距離感が、お互いに心地よい暮らしをつくります。
特に、「家事もできるし、日中は趣味や友人との交流もある」といった母には、自立を尊重した設計が、ストレスなく過ごせるポイントになります。

費用の目安は?分離型は生活コストにも注意
二世帯住宅の間取りを考えるとき、どうしても気になるのが「費用」ではないでしょうか。特に「母一人との二世帯住宅」であれば、必要最小限のスペースで済むのでは?と考えがちですが、間取りのタイプによって費用には大きな差が出てきます。
まず、最もコストを抑えやすいのは「完全同居型」です。水回りなどの設備をすべて共用できるため、通常の一戸建てに1部屋追加する程度の予算で収めることが可能です。広さとしては35〜40坪程度で1,800万〜2,500万円ほどが目安となります(※地域や仕様により大きく変動します)。
次に「一部共有型」ですが、母の専用スペース(個室・トイレ・ミニキッチンなど)を追加する分、コストはやや上昇します。ただし、水回りの多くは共用できるため、完全分離型ほどの増額にはなりません。一般的には2,500万〜3,200万円程度が目安とされています。
一方で、最も費用がかかるのが「完全分離型」です。
これは2つの家を1棟の中に作るイメージなので、キッチン・トイレ・浴室・玄関などをそれぞれに設ける必要があり、建築面積も広くなるため、その分建築費用も上がります。規模や設備によって異なりますが、3,500万〜4,500万円以上かかるケースも少なくありません。
また、設備を2セット導入するだけでなく、配管・配線などの施工コストも増加しますし、メンテナンス費用や光熱費も2世帯分かかる点には注意が必要です。
とはいえ、費用だけで決めてしまうと、将来的にリフォームが必要になったり、住みづらさから同居が破綻してしまったりすることも考えられます。
ですので、
・母の健康状態
・家族の性格
・将来の介護の可能性
・土地の広さ
などを総合的に判断して、最適な間取りタイプを選ぶことが重要です。
二世帯住宅・母一人の間取りで迷ったら相談を!石井工務所の施工事例と提案力
「完全同居がいいのか、それとも分離型が向いているのか……」
二世帯住宅の間取りは、家族構成や暮らし方によってベストな形が変わってきます。特に「母一人」との同居の場合は、生活リズムの違い、介護の有無、距離感の保ち方など、考慮すべきポイントが多く、間取りの選定はとても繊細な作業です。
だからこそ、経験豊富な建築会社に相談することが、満足度の高い家づくりへの第一歩となるのです。
石井工務所では、これまでにも母親との二世帯住宅を含む、多様な世帯構成に対応した注文住宅の設計・施工実績を積んでまいりました。
・費用は抑えたいけれど、トイレやキッチンは母にも快適に使ってほしい
・敷地が狭いけれど、プライバシーを守れる間取りは可能?
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。ライフスタイルと土地の条件に合わせた柔軟なプランをご提案いたします。
ただ「家を建てる」だけでなく、将来を見据えた安心の暮らしを設計するパートナーとして、地元の方々から厚い信頼をいただいています。
「母との同居を考え始めたばかりで、まだ具体的なイメージがない…」という方でも大丈夫です。どの段階からでもご相談いただけますので、ぜひ私たち石井工務所にお問い合わせください。
まとめ
母一人との二世帯住宅は、「一緒に暮らす安心感」と「それぞれの快適な生活」をどう両立させるかがポイントです。
完全同居型・一部共有型・完全分離型、それぞれにメリット・注意点があり、母の健康状態や希望、家族のライフスタイルによって最適な形は異なります。
また、間取りだけでなく、バリアフリーやミニキッチン、トイレの数など、暮らしの中の細かな配慮も快適さを左右する重要な要素です。
世界にひとつだけの「わたしが主人公の家」。住む人が心から満足できる空間を、一緒に造りませんか?
迷ったときには、豊富な経験と提案力を持つ建設会社に相談するのが一番の近道です。家族みんなが笑顔で過ごせる住まいを検討するなら、ぜひ石井工務所にご相談ください。