左右分離の二世帯住宅の間取りは平屋でも実現可能?メリット・デメリット・間取りプラン例

左右分離の二世帯住宅の間取りは平屋でも実現可能?メリット・デメリット・間取りプラン例

二世帯住宅には、共有型、一部共有型、完全分離型の3つのスタイルがありますが、その中でも完全分離型は、プライベートを確保できると人気のスタイルです。

分離の方法は、上下と左右があり、特に左右分離型は平屋住宅との相性がよく、バリアフリー設計や生活音のストレス軽減など、メリットもたくさんあります。

一方で、敷地面積や建築コストの面で不安を感じる人も少なくありません。

そこで今回は、左右分離型の平屋二世帯住宅について、特徴や間取りの工夫、実際に建てる際の注意点まで、わかりやすく解説します。二世帯住宅の間取りで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

左右分離型の二世帯住宅とは、建物を左右に分けるようにして、親世帯と子世帯の生活空間を完全に分離したスタイルです。玄関もキッチンも水まわりも、それぞれ独立しているため、お互いに気をつかうことなく、それぞれの暮らしを守ることができます。

完全分離型二世帯住宅の基本構造

この左右分離型は、上下階に分ける上下分離型と比べると、特に平屋との相性が抜群です。

・階段の上り下りがなく、高齢の親世帯でも安心して暮らせる
・生活音や物音が上下階に伝わらないため、プライバシーや快適性を確保しやすい
・左右に居住空間を振り分けやすく、中庭や共有スペースを挟むことで、適度なつながりと独立性のバランスを実現できる

ただし、平屋で左右分離型の二世帯住宅を建てるには、一定の敷地面積が必要です。

左右分離型の二世帯住宅を平屋で建てることは、多くのメリットがあります。ここでは、実際に暮らす上で感じられるメリットを5つご紹介します。

左右に分けて暮らすことで、テレビの音や生活リズムの違いによるストレスが軽減されます。上下分離型と比べて、足音や物音が天井から伝わることもないため、快適さを保ちやすいです。

1. 生活音や人の気配が気になりにくい

平屋の最大の特徴は、階段がないことです。左右分離型でも段差のないフラットな設計が可能となり、高齢の親世帯にとっても安心です。将来の介護や見守りのしやすさも魅力のひとつです。

玄関、LDK、水まわりを別々に持つことで、完全に独立した暮らしが叶います。訪問客の出入りや、生活スタイルの違いによるストレスを防ぎやすく、お互いに気兼ねなく過ごせるのは大きなメリットです。

分離型とはいっても、完全に切り離さない形がおすすめです。住まいの中心に中庭やウッドデッキを設ければ、お互いの気配を感じながらもプライバシーを保つ、ゆるやかな距離感が生まれます。共用スペースは交流のきっかけにもなります。

4. 中庭や共有スペースを入れれば適度なつながりを保てる

二世帯住宅としての役割を終えた後も、左右で完全に分かれているため、一方を賃貸に出す、子世帯が使い続ける、親世帯をゲストルームとして活用するなど、さまざまな選択肢が広がります。資産価値の面でも安心です。

暮らしやすさに優れた平屋の左右分離型二世帯住宅ですが、建てる前に知っておきたいデメリットや注意点もあります。ここでは、代表的な4つのポイントをご紹介します。

平屋は上下階がない分、同じ延床面積でも「横に広がる」間取りになります。左右に分ける設計の二世帯住宅では、さらに広い土地が必要になります。

特に、都心や住宅密集地では、敷地の確保が難しくなるケースもあるため、土地選びの段階からしっかり検討しておきましょう。

1. 広い敷地が必要になる

平屋は構造的に基礎と屋根の面積が大きくなるため、同じ延床面積の2階建てと比べて建築費用が割高になる傾向があります。さらに左右分離型では、水まわりや玄関・キッチンなどの設備が2セット必要になるため、コストはより増加します。

コスト増の分も見込んだ資金計画が重要になってきます。

2. 建築コストが高くなりやすい

横に長い間取りは、中央部や奥まった部屋に光や風が届きにくくなることがあります。快適な住空間を保つには、

・中庭を設ける
・天窓や高窓を活用する
・風の通り道を意識した設計にする

などの工夫が欠かせません。

3. 採光・通風に工夫が必要

左右で空間が分かれていても、壁一枚を隔てた向こう側に別の生活がある以上、生活音やにおいなどが気になる可能性はゼロではありません。

・防音性能の高い壁材を使う
・窓や換気扇の位置を調整する

など、設計段階での細かな配慮がトラブル防止につながります。

左右分離型の二世帯住宅は、設計の自由度が高い反面、家族構成やライフスタイルに合わせた間取りの工夫が欠かせません。ここでは、平屋で人気の3つの間取りプランをご紹介します。

建物の中央に共通の玄関スペースを設けたうえで、左右を完全に分けたプランです。左右それぞれにLDK・水まわり・寝室を配置できるため、親世帯と子世帯が独立した生活を送りやすくなります。

このタイプは、「適度な距離感とつながり」を求める家庭に向いています。玄関先で顔を合わせられますし、郵便物の管理などを共有できるのもメリットです。

住空間の中心に中庭やウッドデッキを設け、その左右に親世帯・子世帯を配置するプランです。採光や通風が確保しやすく、視線や音もほどよく遮られるため、心地よい距離感を保ちながら暮らせるのが特徴です。

自然を感じられる中庭は、ガーデニングや子どもの遊び場、ペットスペースとしても活用できます。

パターン②|中庭を囲むコの字型・くの字型プラン

子世帯の人数が多い、あるいは将来的に子世帯のみが住み続ける可能性がある場合は、片側を広めに設計する非対称プランもおすすめです。

たとえば、親世帯側はLDK+寝室+水まわりのシンプルな構成とし、子世帯側には子ども部屋やワークスペース、収納を充実させるなどしておくと、暮らし方が変化しても、柔軟に対応できるでしょう。

左右分離型の二世帯住宅は、暮らしやすさの工夫が詰まったスタイルですが、すべての家庭に最適というわけではありません。ここでは、どんなご家族に向いているか、また注意が必要なケースについても見ていきましょう。

・郊外や地方で広い敷地が確保できる家庭
・生活スタイルや時間帯が異なる世帯
・プライバシーをしっかり守りたい家庭
・将来的に片方の世帯が退去、独立する可能性がある家庭

まず何よりも、敷地の問題があります。左右に分ける以上、どうしてもある程度の広さが必要ですので、郊外にお住まいの方の方が向いているでしょう。

親世帯が早寝早起き、子世帯は夜型の共働きというように、生活リズムが違う場合でも、左右分離型ならお互いに気兼ねなく過ごせます。水回りも完全に分けられますから、集合住宅のように独立性が高く、同居のストレスを最小限に抑えられます。

子どもが巣立った後、親世帯のみ、または子世帯だけで住む予定があるなら、左右分離型の構造はそのまま活かして、片方を賃貸やゲストルームにすることも可能です。

・敷地面積に制限がある家庭
・日常的に顔を合わせて過ごしたい家族
・建築費用をなるべく抑えたい家庭

都市部や狭小地では、平屋かつ左右分離の設計は難易度が高くなります。十分な余裕がない場合は、同じ完全分離型でも、2階建てにして上下分離にした方が良いでしょう。

また、

・できるだけ食事を一緒に取りたい
・孫と祖父母が頻繁に交流したい

など、二世帯の交流が欲しい家庭には、共有スペースを持つ一部共有型のほうが向いています。

「左右分離型の平屋にして良かった」と心から思える家づくりには、丁寧なヒアリングと柔軟な提案力が欠かせません。
石井工務所では、ご家族それぞれのライフスタイルや将来設計を踏まえた、暮らしやすさ第一の二世帯住宅をご提案しています。

土地の広さやご予算に合わせた間取り設計はもちろん、「どこまで分けるか」「どこを共有にするか」といったバランスも一緒に考えていきませんか?

完全分離型をご希望の方にも、使い勝手や快適性を損なわないプランをご用意可能です。

適した土地が見つからない…そんなお悩みにも、お答えしています。まずはお気軽に、家づくりのご希望やお悩みをご相談ください。

「ちょうどいい距離感」のある二世帯住宅を、私たちが一緒にカタチにしていきます。

左右分離型の平屋二世帯住宅は、プライバシーを大切にしながら同居できる暮らし方として人気があります。生活音や生活リズムの違いによるストレスを減らし、バリアフリーや将来の柔軟な使い方にも対応しやすいのも魅力です。

一方で、広い敷地が必要だったり、建築コストが高くなったりするなどの注意点もあります。後悔しない家づくりのためには、間取りだけでなく将来の暮らし方まで想像しながら計画を立てることが大切です。

平屋×左右分離型の間取りは、自立とつながりのバランスを取るのにぴったりのスタイルです。それぞれ独立しながらも、近くでお互い安心して暮らしたい、そんな家づくりを夢見ているご家庭には、最適な暮らし方といえるでしょう。

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