「木造住宅は地震に弱いのでは?」と不安を抱く方は少なくありません。しかし、実際には木造住宅も適切な設計や施工を施すことで、十分に耐震性を確保できます。
また、木材自体の軽量性やしなやかさが、地震の揺れを吸収しやすいという特性もありますから、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅と比べても遜色ない、高い耐震性を持った木造住宅を建てることは可能です。 今回は、木造住宅の耐震性や、地震に強い木造住宅を建てるためのポイントを詳しく解説します。注文住宅を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
木造住宅の耐震性とは?その基本構造を理解する
なぜ木造なのに丈夫だといえるのか、その理由について説明します。
木造住宅が地震に強い理由
木材は鉄やコンクリートに比べて非常に軽量です。地震が起こる際、建物にかかる揺れの力(震度)はその重量に比例します。
つまり、軽い建物ほど、地震の揺れによる負担が少ないため、木造住宅は地震に強いのです。
また、木は適度にたわむことができ、地震の際に発生する揺れや衝撃を吸収する力があります。
この柔軟性が、建物全体にかかる力を分散させ、家屋の損傷を軽減します。
現在の木造住宅は、耐震基準に従って設計され、補強材や制震装置が取り入れられています。木だから地震に弱いというのは、大きな誤解です。
木造住宅は火災にも強い
木は燃えやすいから、鉄筋コンクリートよりも火災に弱いと思われがちですが、実は逆です。
火災が起こった際、木材の表面が炭化することで内部の木材が守られ、構造的な強度を維持する時間が延びます。
鉄骨構造やコンクリートに比べても、燃える速度が遅く、適切な防火対策を取ることで安全性が高まります。
特に木造住宅は、火災が起こってもすぐに崩れ落ちないため、安全に避難できる時間を確保しやすい点がメリットです。
木造住宅の耐震等級とは?耐震基準との違い
地震に対する強さを示す基準として、耐震等級と耐震基準があります。それぞれ何が違うのか、わかりやすく説明します。
耐震等級は1〜3まである人命と建物の安全を守る基準
耐震等級とは、住宅の耐震性能を3段階で評価したものです。これにより、その建物がどの程度地震に強いかが分かります。
耐震等級1 | 建築基準法で定められた最低限の耐震性能で、大地震(震度6~7相当)でも倒壊しない基準 |
耐震等級2 | 等級1の1.25倍の強さを持つ構造で、主に学校や病院などの公共施設で採用されることが多い |
耐震等級3 | 等級1の1.5倍の耐震性能を持ちます。災害時に救援活動を行う警察署や消防署などの重要な施設で採用されている、人命や建物を最大限守るための最も高い基準 |
建築基準法で義務付けられているのは耐震等級1で、2と3は任意です。
耐震等級1は、震度6〜7でも倒壊はしませんが、建物が損傷する可能性はあります。ですから、耐震等級を2〜3の方が丈夫であることは、いうまでもありません。
2016年の熊本地震でも、耐震等級3の木造住宅は大きな損傷が見られず、大部分が無被害だったことが報告されています。
(「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について」)
地盤との関係もありますので、100%被害がないとは言い切れないものの、耐震基準は高い方が安心であることはお分かりいただけると思います。
耐震基準とは建物の安全基準
耐震基準は、建築物が地震に耐えられる最低限の構造的な強さを定めた規則です。これは建築基準法に基づいており、建物の設計段階で守るべき指針となっています。
「震度6~7の地震でも建物が倒壊しない」ことを最低限の目標としています。
耐震基準は大地震のたびに見直しが行われ、特に1995年の阪神淡路大震災以降、2000年に耐震基準が大幅に改正されました。建物の構造強度や設計方法に関する要件が強化され、地盤の調査が事実上の義務化となっています。
中古物件を探すなら、2000年6月以降に建てられた建物が良いとされるのは、耐震基準が強化されたのが2000年だからです。
耐震・免震・制振の違い
木造住宅に関しては、地震対策として「耐震」「免震」「制振」の3つの技術が用いられます。
それぞれの違いを簡潔に一覧でまとめました。
耐震 | 地震の揺れに直接対抗するために建物そのものの強度を高める技術で、耐震壁や筋交い、金物などで建物の骨組みを強化し、建物が倒壊しないようにする |
免震 | 建物そのものが地震の揺れを受けにくくする技術で、建物の基礎部分に免震装置を設置し、地盤と建物を切り離すことで、地震のエネルギーを吸収し、建物への揺れを大幅に減少させる |
制振 | 建物内に設置された制振装置やダンパーによって、揺れを吸収・減衰させる技術で、建物自体は揺れるが、その揺れが次第に弱まるように制御されている |
結局どれが良いのか、それは建物の構造や高さ、予算などによって変わってきます。
たとえば、制振技術はビルやマンションなどで使われることが多いですが、制振単体では地震による揺れは防げないため、耐震や免震と組み合わせることになります。
免震技術は地盤に免震装置を埋め込まなくてはならないので、コストがかかります。最も取り入れやすいのは耐震ですので、状況に応じて免震や制振と組み合わせていくことになりますが、建物の大きさやコストを考慮しながら、最も適したものを選びます。
耐震性の高い木造住宅を建てるためには?
地震に強い木造住宅を建てるには、特に地盤の強さと建物の設計・施工に細心の注意を払い、信頼できる施工会社を選ぶこと必要です。
どこに家を建てるのか、地盤の強さが重要
耐震性の高い住宅を建てる際、地盤の強さは非常に重要です。地盤が弱い場所に建てると、建物がいくら頑丈でも地震の揺れを吸収できず、沈下や傾きが生じる可能性があります。
調査によって地盤が弱いと判定された場合は、地盤改良工事を行うか、住宅の基礎を強化することで建物の耐震性を確保します。
いうまでもなく、丘陵地や台地、崖下ではなく平地の方が地盤の強いです。さらに、過去の災害履歴や周辺の地形も考慮に入れて、地盤が安定しているエリアを選ぶことが、住宅全体の耐震性を高める第一歩となります。
建物の重量を軽くすること
建物の重量が重くなるほど、地震時に受ける揺れの力は大きくなります。木造住宅の耐震性を高めるには、できるだけ建物を軽量化することが効果的です。
屋根は建物の上部にあるため、特に地震時の揺れに影響を与えます。従来の瓦屋根に比べて、金属製の軽量な屋根材を使用することで、建物全体の重量を軽減し、耐震性を向上させることができます。
また、内装材や外装材も軽量なものを選ぶことが大切です。壁や床、天井に使われる素材を軽くすることで、地震時に建物全体にかかる負担を減らすことができます。
耐力壁を増やして接合部を強化すること
木造住宅の耐震性を高めるためには、建物の骨組みを強化し、地震の力に対抗する「耐力壁」の設置が重要です。また、接合部の補強も耐震性を高める鍵となります。
耐力壁の位置や数はバランスよく配置する必要があり、建物の構造計算に基づいて適切に設置されることで、建物全体の耐震性能が向上します。
また、木造住宅では、柱や梁、土台などの接合部が非常に重要です。接合部が弱いと、地震の際にこれらの部分が分離し、建物が崩壊するリスクが高くなります。
耐震金物や補強金具を使用して、接合部をしっかりと固定することは、建物の耐震性を確保するために不可欠です。
信頼できる施工会社を選ぶことが大事
そして何よりも重要なのは、信頼できる施工会社を選ぶことです。
具体的には、過去の施工実績や、第三者機関による認定資格(たとえば、住宅性能評価や耐震等級の取得経験があるかどうか)を確認しましょう。
また、地盤調査や設計段階から耐震性を考慮してくれる会社を選ぶことで、家の安全性を高めることができます。
注文住宅のご相談は石井工務所へ
石井工務所の注文住宅は、安心、安全を住んでいただくために、すべての住宅で耐震等級3を取得しています。
日本は地震大国。どこに住んでいても、地震の被害にあう可能性はあります。いつ来るか分からないからこそ、備えが必要です。
木造住宅って本当に丈夫なの?地震が来ても倒壊しない?など、耐震性に不安を感じているなら、ぜひ一度私たちにご相談ください。
まとめ
木造住宅の耐震性は、鉄筋コンクリートと比べても遜色ないものです。木材は軽く、自然にたわむ性質があるため、揺れに強いのです。
耐震等級が高く、2000年以降の耐震基準を満たしている建物なら、木造だからといって地震に弱いことはなく、震度6〜7の地震が来ても倒れることはないでしょう。
地震に強い家を建てるには、建物だけでなく地盤の強さも必要ですし、実績豊富な工務店に依頼することも大切です。安心、安全な注文住宅を検討している方は、ぜひ石井工務所にご相談ください。