設計コンセプト：趣味が暮らしの中心になる家
広い敷地に建つ既存建物を活かしながら、新たな住まいを計画するという条件のもと、住みながらの新築工事を行いました。
既存建物を残すという前提により、新築部分はその配置に干渉しないように敷地内での位置を慎重に検討し、
結果として南北に細長い建物形状が導き出されました。
この形状を活かし、生活空間をゾーンごとに整理することで、明確な動線と快適な住環境を両立させています。
南側には日当たりを活かしたLDKを、中央には趣味や仕事に集中できるアトリエを、北側には静けさを求めた寝室や水まわりを配置。
それぞれの空間が緩やかに連続しながらも、機能ごとに整理された構成としています。
アトリエ部分には吹き抜けを設け、最上部に採光用の窓を設置。
天井にはパーゴラを架け、観葉植物が頭上を彩る心地よい空間としています。
柔らかな自然光が降り注ぐこの場所は、季節の移ろいを感じながら作業に没頭できる環境をつくり出しています。
仕上げ材には、確保できた予算を活かし、内外装ともに漆喰を採用。
フローリングや建具には無垢材を用い、自然素材ならではの調湿性や経年変化が、住まい全体に穏やかで豊かな空気感をもたらしています。
玄関には高気密仕様の引き戸を採用。
袖部にはガラスを配し、光と柔らかく取り込む工夫を加えています。
断熱・気密性能の面では、屋根・壁にウレタン吹付断熱を採用し、開口部には樹脂サッシを使用。
構造計算により耐震等級3を確保し、地震時にも高い安全性を備えた構造としました。
空調については、床下にエアコンの暖気を送ることで全館を暖房し、
冷房時には屋根裏に設置したエアコンから各室の天井ファンを介して冷気を循環させる、効率的な全館空調システムを導入しています。
庭は、建物南側に小さな坪庭を設けて日々の暮らしの中に自然を取り込みつつ、
既存建物の解体後に生まれた広いスペースには遊歩道や東屋、パーゴラを設置し、敷地全体がまるで小さな公園のような景観となるよう整備しました。
