設計コンセプト：将来を見据えたシンプルで高性能な平屋住宅
本計画は、ご夫婦お二人で快適に暮らしていただくことを前提とした平屋建て住宅です。
将来的なライフスタイルの変化も見据え、すべての建具を引き戸とし、床には段差のないフルフラットなバリアフリー設計を採用しています。
現時点で車椅子の使用は想定されていませんが、可変性のある住まいとして計画しました。
建物の平面形状は断熱効率と構造効率を考慮し、正方形に近いコンパクトな形状としています。
これにより外皮面積を最小化し、冷暖房エネルギーの損失を抑え、空調効率の向上を図っています。
居室はすべて外壁に面して配置し、日中の自然採光を最大限確保するよう計画。
特にリビング・ダイニング（LD）については広がりを持たせるために勾配天井を採用し、
さらに頂部に越屋根を設け、固定窓を通して上部からの採光も確保しています。
これにより、開放感と明るさの両立を実現しました。
屋根はシンプルな切妻形状とし、仕上げ材には耐候性とメンテナンス性に優れたガルバリウム鋼板の縦ハゼ葺きを採用。屋根形状・納まり共に雨仕舞いの信頼性を高め、雨漏りリスクを最小限に抑えています。
構造面では、許容応力度計算に基づく耐震等級3を取得しており、高い耐震性能を確保しています。
特に平屋構造の特性と相まって、地震時の安全性・安定性に優れた建物となっています。
設備面においては、床下空間を活用した暖房専用エアコンによる全館床下暖房を採用。
足元から穏やかに温める方式で、冬季でも快適な室温環境を実現しています。
換気設備は第一種熱交換換気システムを床下に設置し、冷暖房効率を損なわずに計画換気を行う仕様としています。
冷房は、LD空間上部に設けた冷房専用エアコン1台で家全体をカバーする構成としましたが、実際の居住運用では個室のドア閉鎖時などに冷気が届きにくいケースがあり、空気循環のための補助装置（サーキュレーター等）やゾーニングに応じた補助冷房の検討も視野に入れています。
